気付くのが遅すぎた












どうして俺は君を突き放したのだろう













今更気が付いたよ













君じゃなきゃだめなんだって






























君がくれた優しさ
























ねぇ雄一?もう無理に笑わないで
貴方は優しいから
私を傷付けないようにしてくれてるんだよね
でも、貴方にはいつものあの笑顔で…私の大好きだったあの笑顔で笑って欲しいから



私、貴方に「サヨナラ」を告げます。








私と雄一が出会ったのは一昨年の冬
あれから2年も経ったんだね

その長かった月日の流れを、私は止めようとしてるの



「ねぇ雄一。話があるの」
「ん?どした?」


貴方のその優しい声。優しい目。
もう私には向けてくれないんだね




「もう終わりにしよっか、私たち」
「え…?」


そんな切なそうな顔しないでよ


「別れようって言ってるの。他に好きな人が出来たの」


嘘。他に好きな人なんていない
好きなのは貴方、雄一だけだよ
別れたくない…離れたくないよ
お願い…気付いて




















































「わかった」



















私のそんな小さな願いが貴方に届くはずは無かった。


















雄一には好きな人がいたの
私じゃない
私の親友の


私はが大好き
いつも傍で支えてくれていた
だからいつでもの幸せを祈っていた


私は雄一を愛してた
心の底から
だから貴方の幸せのためならなんだってするよ








別れてから1ヵ月後、雄一とは恋人同士になった








〜おめでと!青春だね〜このこの!!」
、ありがと〜!」
「雄一も幸せ者だな〜」


別れてから私たちはただの友達
どうってことないよ
付き合う前に戻っただけ
もう好きじゃない








































































…訂正


まだ愛してるよ
でもそんな私の勝手な想いは許されないの






















〜、雄一と喧嘩しちゃった〜(泣)」
「何々どうしたの?何が原因?」





私はたちの相談係り
雄一からも相談される
だって私たちは友達だから…
相談されることはいつものこと






「雄一ったら最近おかしいの!全然相手にしてくれないの!」
「他に女でも出来たんじゃねぇ?」
「聖!冗談でもそういうこと言わないの!悩んでるんだから」






今とんでもないことを口にしたのは田中聖
雄一の親友で、私の相談もよく聞いてくれる
いや、どっちかというと聖には私が悩みを抱えている、
ということがすぐにバレる
だから結局、聖に全部話してしまう






でも今回のことはまだバレてない















































大丈夫…大丈夫…

























自分の気持ちを知られたくなくて

何度もそう自分に言い聞かせている






























PiPiPiPiPi。。。♪(着信)




「はーい」
「あ、俺。雄一」
「雄一?何、どうしたの?あ、わかった!のこと?」
「あー…うん」
「いいよ、何?」
「直接聞いて欲しいんだけど」
「わかった」
























―――(喫茶店)―――……‥


「おーっす」
「何、聖もいたの?」
「おうよ。最初俺が相談受けてたんだけどな。
 女のこと詳しくはわかんねぇもんだからさ」
「それで私ってことね」
「わりー‥忙しかった?」
「ううん、大丈夫」



やっぱ雄一は優しいな〜




「さて、本題をどうぞ」








私は2人に向き合うように座りながら話を聞く
たまにグラスに入った氷をストローで回しながら




















「そっかー…でも大丈夫だよ。怒ってないって」
「そうかなー…なんかちゃんと伝わってなさそうなんだ」
「大丈夫。雄一はのことをずーっと前から想ってたんでしょ?
 雄一のその一途な気持ち、絶対伝わるよ」




は幸せ者だな〜こんなに想われて




























、ありがとな!送ってくよ」
「いいよ、まだ居るから。早くのとこに行きなよ」
「おう、本当さんきゅーな!聖、行くぞ」
「あ、俺もまだ居るわ」
「わーった。じゃな!!」






























「・・・」
「・・・」
「…何」
「いや?ちょっとお前と話したいなーって」
「・・・」
「・・・」












嫌だな、この沈黙
帰ろうかな…




































「お前さ、なんで中丸と別れた?」
「…なんで今更そんなこと聞くの」









なんで今頃別れた理由聞かれなきゃなの?
もう終わったのに
終わっちゃったのに…




























「…まぁどうしても言わねぇなら聞かねぇけど。
 でもお前のその涙見ちゃあほっとけねぇ」






















…え?私、泣いてる?









あの時以来泣いたことなんか無かったのに…











「まだ好きなんだよな?中丸が」





あぁ、やっぱり聖にはわかっちゃうんだな…





















私は思わず頷いてしまった

























「…私ね、まだ雄一のこと好きだよ」
「うん」
「でもね。私わかっちゃったんだ。雄一はもう私のこと好きじゃないって。
 他に好きな人が出来たって。
 相手もわかった。親友の
「・・・」
「私、2人のことが大好きだから。絶対幸せになってほしかったの。
 でも結局邪魔だったのはね。私だったの。
 雄一は優しいから…私から言わなければ雄一は別れなかったと思う。
 でもそのままじゃも雄一も幸せになれない。
 そう思ったから別れたの」











言っちゃった…全部
でもすっきりした
誰にも言えなかったから





























「…じゃあさ、お前の幸せはどうなんだ?
 中丸と別れて…あの2人は幸せかもしれない。
 でもお前はどうなんだ?今、幸せか?」
















聖の口からは思ってもなかった言葉が出てきて、思わず黙り込んでしまった





















「はぁ…お前も心底優しいやつだな。
 自分の幸せよりも周りの幸せってか?お前、自分が我慢すればいいとか、そう思ってんだろ?」












…図星。私の考えを指摘されて、もう何も言えない





















「周りの幸せを祈るのは俺も同じだよ。
 でもお前は自分を犠牲にしすぎてんだよ。
 お前、辛くないか?好きな人に恋人について相談されて。痛いだろ?」
















もう泣くしかなかった






































痛い


痛いよ















































雄一を想うたびに心が痛いよ

























PiPiPiPiPi。。。♪(メール受信)





「…え…嘘だろ…」


















「聖!」
「お、中丸。どしたー?」
「…俺…振られちった…(苦笑)」
「はぁ!?え、なんで?理由聞いた?」
「それがわかんねぇから今焦ってんだって!理由もわかんねぇのに別れたくねぇ…」
「んー…でもやっぱ本人に聞かなきゃわかんねぇだろ」
「だよな…でも、んー…あ!ならなんか話聞いてねぇかな…
 話聞いてもらお…」






「中丸!!!」







「は!?何だよ、いきなりでけー声出すなっつの!」
「お前な、無責任すぎんだよ!に頼りすぎなんだよ!」
「・・・」
「はぁ…お前は何処まで鈍いんだよ。わかってやれよ」
「鈍い?お前ふざけんなよ」
「ふざけてんのはどっちだよ。の気も知らないで。
 がどんな想いでお前に別れ告げたか、よく考えたことあんのか?」
「・・・」
「お前が今みたいに別れた理由を追及してやればはあんなにボロボロにならなかったのに。
「…なぁ、お前さっきから何言ってんのかわかんねぇよ…」
「お前さ、と別れたとき、なんて言われた?」
「…他に好きな人ができたって」
「その相手が誰かわかるか?」
「知らねぇよ」
「俺も知らない。お前も知らない。もちろんちゃんも知らない。
 親友にまで好きな人隠すなんて、何かあるの思わねぇのか?」
「…にもかなり関係のあるやつ?」
「そう。あともう一つ。
 あの日お前がに相談したとき、不思議に想わなかった?」
「なにが?」
が言った言葉、よーく思い出してみろよ」
「・・・」























































『大丈夫。雄一はのことをずーっと前から想ってたんでしょ?
 雄一のその一途な気持ち、絶対伝わるよ』

































「・・・」
「あいつはさ、気付いてたんだよ、お前と付き合ってた頃から。
 あいつは、お前は優しいから、自分から別れようなんて絶対に言わないって。
 優しいのはだろ。お前じゃない。
 あいつな、言ってたぞ。
 お前らのことが大好きだから、どうしても幸せになってほしかったって。
 そのためには自分が我慢すればいい。自分が犠牲になればいいって。あいつはそう考えてる。
 お前らの幸せのことばかり気にして、あいつは今自分の幸せを削ってる。
 だから今、心も身体もズタズタになってんだよ。
 お前が無責任にに相談すっから…
 好きな人から恋人の相談される気持ち、お前にわかるか?」
「・・・」















俺は何も言えなかった
俺はの優しさに甘えすぎたんだ


なんで俺はあの時、君を引き止めなかったんだろう












































逢いたい




























逢いたいよ、































「…今あいつ、公園にいるから。言ってこいよ」
「聖…ありがと」
















俺は全速力で公園に急いだ




























聖に話しちゃった…全部
でも聖に自分の気持ちを話したところで何も変わらない
変わらないんだ…




























!!!!」


















「え?」














声がしたほうを振り向くと、雄一が息を切らしながら走ってきた






どうしよう…私泣いてる…










私は急いで涙を拭って雄一に言った











「雄一、どうしたの?まだとなんかあった?」

「はぁはぁ…………」

「何?」






































「俺のこと、好き?」






























「え?…な、何言ってんの?」











雄一の思わぬ発言に動揺してしまった

いきなりなんなの?













「…言ったでしょ…私には好きな人がいるの」
「じゃあその相手って誰?」








なんで?なんでそんなこと聞くの?











「…雄一には関係なっ…」
!!!!!」





「……高校の時の先輩!すごくかっこよくて…雄一よりも…優しいんだから…」











だめだ…泣きそう…












「高校のときの先輩ね…










































 でもお前、女子高だろ?」
























頭が真っ白になった


自分で墓穴を掘ってしまった














「なぁ…本当のことが聞きたい。
 好きなやつって、誰?」








しばらくの沈黙
ほんの数分なのに、何時間も経っている気がした
そんな中、早くの気持ちが聞きたくてウズウズしている俺がいる



























「……だよ…」
「…え?」
















































「雄一だよ!!!!
 私が好きなのは中丸雄一!他の誰でもないよ!!」

































からは大粒の涙が零れていた

その涙はとても綺麗で…つい見とれてしまった











「…なんで…今更そんなこと聞くの…終わったじゃん…」

「俺さ、聖から聞いたんだ。全部」
「・・・」
「俺怒られちゃったよ(苦笑)に甘え過ぎだって」
「…それで…何…」

















涙を堪えようとして肩を震わせている
あぁ、ってこんな弱かったんだな…

























「俺さ、考えたんだ。
 俺は確かに…のことが好きだよ」
「・・・」













そんなこと聞きたくない…余計に涙が止まらなくなる…
















「やめて…聞きたくない…!」








私は耳を両手で塞いだが、すぐに解かれてしまった











「いいから、聞いて!」
「・・・」
「でも付き合ってみて…何か違うなって思って。
 の時と…なんか…落ち着かなくて…
 俺の気持ちをちゃんと伝わっているかあやふやだったし…
 いっつも、なら…って考えてた」
「…うん…」








































































「俺、が好きだよ」

















































やっと捕まえた










もう絶対に離さないから









君のくれた優しさを、本当の愛に変えたから













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